Blog-9 尾州毛織物

今回は、当社がある愛知県一宮市についてお話します。ところで、まず一宮市ってご存じでしょうか?JRならば名古屋から西に向かって約10~15分ってところにあります。伊勢湾に注ぐ木曽川を軸に肥沃な濃尾平野が広がる地域に位置しています。ここが尾州地域なのです。昔からずっと繊維産業に関係してきた地域で、桑や綿花などが栽培され、絹、綿、そして毛織物と転換しながら、発展してきました。近代になって、最終的に毛織物へ転換したのは、海外から安い綿が入ってきたことと、そして、明治時代になって各地で殖産興業政策が行われるなかで、この尾州地域は毛織物を選択したためなのです。

そして、先人の努力の甲斐があって尾州地域は、国内総生産量の約8割の毛織物を生産している国内最大の毛織物の産地にまで発展しました。そんな尾州地域の一角の一宮市は、世界のハイファッションブランドにも品質の高さが認められる尾州毛織物を提供する中心です。とはいえ、その高い評価は、国内はおろか、一宮の市民にさえ、知られていないのが現状です。

国内メーカーはもちろん、誰もが知っているようなヨーロッパの複数のラグジュアリーブランドが、一宮市で作られた毛織物を採用しているのですが、毛織物産業はB to Bなものが主流で、B to Cのように、スーツのような商品まで仕立て売っているわけではありません。どのブランドのスーツにも、このウールは一宮産、尾州毛織物なんて書いてはないですから、一宮で生まれたウールの素晴らしさが一般の方に知られることはない、陰の立役者的な立場なのです。国内どころか、一宮市民でさえ、毛織物産業に関わっていない限り、尾州毛織物の高い評価を知らないのです。

だから、それをより広く知ってもらい、世界に誇れるものが自分たちの街で作られているという自信を持ってもらいたいと、その自信が一宮市、ひいては日本を元気にする。一宮の繊維産業の一部に携わる者としては、そんな大きな思いを切実に感じています。

それでは、どうすれば良いのでしょうか?それは、きっと発信する、アピールするということなのだと思っています。近年、一宮市は、東京都渋谷区と連携して、シンポジウムなどのイベントを計画、実施してきています。ご存じのように、渋谷は、日本の若者のファッションの中心です。渋谷区の街のあちこちに、大小様々なデザイナーズショップやセレクトショップがあります。世界のセレブや、ファッションリーダーが訪れる原宿があります。有名な服飾デザイナーを輩出してきた文化服装学院などの服飾の学校が多くあります。そして、色々な繊維製品が集まってきます。繊維製品に関する情報が集中してきます。

そんな渋谷の街から尾州の毛織物を広めていけないか?公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンターが、産地プロモーションの一環として、尾州産地の「尾」の文字を、毛織物の毛をモチーフにしてデザインし、誕生したのが「尾」マークです。尾州産地のロゴマークとして位置づけ活用していっています。現在、商標登録され、商品のタグなどにも使用されています。産地プロモーションの一環として、産地のロゴマークと位置付けて活用していっているのです。渋谷のショップに「尾」のマークの商品が次々に並び、今治タオルのように認知されていくのを期待しています。

このように情報発信していくことで、一宮の方々には尾州毛織物の産地であるという自信を持っていただき、一緒にいろんな展開を考えていければと願ってやみません。

そして、一宮からの発信とは逆に、デザイナーやクリエイターを目指す若い学生野皆さんには、ぜひ一宮市に来ていただけたらと思います。その毛織物素材やワッシャー加工のような特殊加工の原点を求めて一宮に足を運んでもらって、見て、触れてほしいと思っています。

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