Blog-2 匠の技
今回は、ワッシャー加工の機械を使いこなす匠の技について、そして、その継承についてお話しさせて頂きます。
当社ホームページの【ワッシャー加工の継承】の欄において、「ワッシャー加工は特殊な加工方法であること、そしてそれを取り囲む条件や環境から、この加工方法を受け継ぐ加工業者はほとんどありません。しかし、絶やしてはいけない、次世代に引き継いでいくべき特殊な繊維加工技術なのです。」と訴えさせてもらっています。
ワッシャー加工ベテラン職人のことばにもあるように、ワッシャー加工の一つ一つの工程を、間違ってしまうと思ってもいない出来栄えになってしまう。しかも、ワッシャー機一台一台に癖があり、それを使いこなすには、職人の長年の経験とカン、技術やノウハウが必要。本当に匠の技に頼っているのが現状です。
前回のワッシャー加工の特殊機械そのものを維持管理していくことも重要なのですが、それを使いこなす技の維持管理も、時間待ったなしの問題なのです。
ご存知のように、ものづくりの現場には、大きな問題が顕在化しつつあると言われ続けています。 多くの業者では、こう訴えています。「ものづくりの現場でも高齢化が進み、技術の伝承が進んでいません。伝統的な繊維のものづくりを教える人がどんどん減っていっています。こうした現象はものづくりの現場あちこちで起こっていると聞きます。ここで手を打たないと、ものづくり技術が消滅しかねないところまで来てしまっているのです。ものづくりの現場を含め、例えば伝承に関わる費用負担等、『国力を守る』という観点から、国家戦略として国をあげて次世代への継承を進めることが必要ではないか?」と。 この現状と警鐘は重く受け止めねばなりません。
現在、尾州一宮でも他の織物産地と同様に、生産現場の高齢化と担い手不足が進んでいます。しかし、希望の光も見え始めています。稀有な加工技術だからこそ、最近は若い技術者が興味を持ち、その技術を継承していこうという動きも出てきています。
前回お話しましたションヘル織機についてが、その良い例になっています。前回お話したションヘル織機の繊維加工業者において、この数年で、20代から40代の社員数人が、ションヘル織機を使ったモノづくりに惹かれ、この会社に加わったのです。この業界では大変珍しいことです。
「どうしてもションヘル織機を使って、ここで働きたい」と志願してきたそうです。当初、この繊維加工業者は、そんな余裕もないのと、その意気込みが理解できなかったので、本気にしなかったとのことですが、色々話をしていく内に、いまの若い人の価値観は、経済的なものが一番ではないと気付かされたとのことです。
今では、ションヘル織機を残し未来へつなぐ取り組みとして、若い職人を育て、高齢化で後継者のいない地域の機屋さんに派遣することも考えているとのこと。この加工業者は、「機械も環境も、何ひとつ変わっていないけれど、でもいまこうして新しい人が集まって、織機を動かしている。以前、ここには何もないと思っていたけれど、足下に宝物がありました。希望は作り出せるんです」と言っておられます。
当社も、真剣に匠の技の継承に取り掛かっています。近年、ベテラン技術者のワッシャー加工作業工程をデータ化し、システム化に勤めています。経験によって蓄積された知識、技術、ノウハウをまずデータ化して、その教科書そのものを作成しています。また、同時にワッシャー加工の担当者、後継者の募集も行っています。
ションヘル織機と同じようにワッシャー加工機も、この機械にしか表現できない繊維加工があります。それは、機械と人の技が醸し出すハーモニーのようなもので、全自動ではできない、手間は掛かるけれど強みでもあるのです。ワッシャー加工の特殊な加工方法は、海外ではイタリアとか有名な地域はありますが、日本のような風合い、表面変化を求める仕上げは海外にはなく、日本だけの技術。この特殊な技術による昔ながらの風合いだけではなく、今の若い技術者たちの趣向と感性とコラボさせ、それによる新しい感覚の風合いを、積極的に国内外のデザイナー、アパレル関係者に届けていきたいと考えています。
ションヘル織機の業者が、これからの目標や夢を話されていました。「世界一流の品質の生地を作って、メイドインジャパンとして日本のデザイナーと一緒に世界へ進出すること。まだ世に出ていない新しいブランドがいいですね。そういうものづくりを、あと100年は続けていきたいです」と。
当社も全く同じ意気込みです。昔ながらの特殊繊維加工技術ワッシャー加工とそれを受け継ぐ人たちから生まれる、未来と可能性を探る努力をし続けるつもりです。
もし、このワッシャー加工に少しでも興味を持たれた方、どうか一度当社にコンタクトをして下さい。
ニッチな世界ではありますが、きっと貴重な技術、それが将来への強みになっていく技術として、一緒に展開していきたいと考えています。